シュージ脱退というのは9月くらいに起こったわけで。
なぜそうなったかという経緯は、本人にいつか語ってもらうとして、「俺辞めるわ」と聞いたとき、「あぁそうか」という割とあさっりした感情しか起こらず、辞めても一生会えなくなるわけではないし、バンドの解散、個人の脱退といったことはこの界隈では日常茶飯事のことであるから、当時の自分のリアクションはそれはそれはとても淡白なものだった。見放すという淡白さではなく、あくまでそれぞれの人生があって一つのバンドがどうにか形成されているわけで、一個人が無理に引き止めたりするものではないし、ましてやこのバンドをやり続ければ将来安泰ということは無いのだから尚更引き止める理由は皆無に等しい。それに本人の口から出た意思は、一夜二夜で出たものではないと思うから。
だから今のところ(おそらく当分は)その脱退の話について振られても、「うーん」とか「そうだね」としか言えない。
語るにはとても多くの言葉が要るからだ。
一言「方向性の違い」とか「メンバー間の不和」という言葉では片付けられない、内部の人間にしか理解できないマーブル状の「何か」を頑張って説明しないといけない。
来年から我々は新しいメンバーを迎えて活動するし、シュージはおそらく何かしらやると思う(それは本人に聞いて欲しい)。
一つ言えるのは喧嘩や仲違い(同じことかな?)ではなく、きっちり話し合って出た答えだということ。
常に人生はうまく行くとは限らない。
バンドはその言葉通りの縮図だ。
上手く行くことなんて最初から何も無い。
大海原を数人で漕ぎ出し、島が見つかるあても無いまま彷徨い、嵐に遭い、行く方角について皆が揉め、島が見え上陸したときには次なる島への渇望が沸き、その島に留まる者は留まり、共に行く者は再び航海に出、彷徨う。
おそらくゴールは、最初から船に乗らないか、島に留まるかでしかない。ゴールというものは一切無い。